歌舞伎の基本・歌舞伎入門ガイド

歌舞伎の舞台

歌舞伎の舞台には様々な機構があり、多様な演出を可能にしています。俳優との親近感をもたらす花道や素早い舞台転換を可能にする回り舞台は、歌舞伎が生んだ世界に誇る舞台機構。自在に空間を変え、物語を効果的に伝える。こうした舞台の構造や仕組み、ちょっとした約束事を知れば、歌舞伎を観る楽しみは広がっていきます。

歌舞伎の舞台

▼花道(はなみち)

舞台に向かって左側の観客席を縦に貫く通路。そこから役者が登・退場します。能舞台の役者の通路が変形したものだといいます。

長台詞を述べる「つらね」など、その特性を生かした演出も生まれました。また、役者が立ち止まって演技をする定位置を「七三」と呼びます。花道を7対3に分けて、舞台から3分の位置になります。

語源には、花の役者の通る道、役者にはな(祝儀)を贈るための道など諸説があります。

ある時は舞台と同じ空間、ある時は異なる場所と、臨機応変に場面設定が変わります。舞台に向かって右側にも仮花道を設定する「両花道」の演出もあります。

▼スッポン(すっぽん)

花道の「七三」にあるセリのこと。芝居の演者が忽然と現れたり、かき消えたりする演出に使用します。

役者の登場時に、まず首から見えるのが、すっぽんの首を連想させるためこの名がついたといいます。

原則として、妖術使い、幽霊、妖怪変化など、普通の人間の役以外に使われます。

▼回り舞台(まわりぶたい)

舞台を大きく円形に切って回転させる機構で、歌舞伎で考案された独自の装置。

大道具ごと動かすことができるので、舞台転換を速やかにします。また、観客の目の前で表裏に飾った装置を回すことにより、場面の変化を目の当たりにすることができる。

半回転させて建物の横を見せる演出もあります。

その形から「盆」とも呼ばれます。

▼セリ(せり)

舞台の床の一部分を長方形に切り抜き、その床を昇降させる装置。

舞台への登場は「セリ上げ」、退場は「セリ下げ」と呼びます。

屋敷などの大道具をそのままセリ上げる「大ゼリ」や俳優の上り下りに使う「小セリ」などがあります。

▼床(ゆか)

人形浄瑠璃の演目を歌舞伎に移行した義太夫狂言で、義太夫節を語る太夫と三味線弾きが演奏する場所。

歌舞伎では義太夫節演奏者のことを、義太夫節を創始した竹本義太夫の名から「竹本」と呼びます。

▼黒御簾(くろみす)

舞台下手の黒い御簾が下がる場所。

祭り囃子の賑やかな音楽、蛙の声、鈴の音、雨や雪の音、幽霊の出現の音まで、芝居の中で流れる音楽や効果音が演奏されます。

これらの音楽は、黒御簾音楽、下座音楽と呼ばれています。

▼定式幕(じょうしきまく)
上演時に下手から開けられる3色の縦縞の引き幕。江戸時代は幕府に興行を許された座(劇場)の証でした。

座ごとに色の組み合わせが異なります。定式とは、歌舞伎においての決まったやり方、形式を意味します。

現在は江戸・森田座の流れを汲む歌舞伎座が、黒・柿色・萌葱。

国立劇場が黒・萌葱・柿の市村座形式の定式幕を使います。

▼揚幕(あげまく)

舞台とは反対側の花道の端(客席の最後尾あたり)に位置する小屋の入り口に下げられた幕。

舞台上手に下げられることもあります。

人物の登・退場時に開閉されます。原則として劇場の紋を白く染めた紺地の幕。

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