夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)

大阪で起きた魚屋による殺人事件を題材にした演目で、全九段の大作として知られています。
夏の風情があふれるなかの殺しの場面など、見ごたえたっぷりの作品。

【あらすじ】

堺の生まれで魚屋くずれのチンピラ団七九郎兵衛。
同じようなワルの一寸徳兵衛と、住吉神社でケンカ騒ぎ。
きょう出所してきたばかりだというのにこの騒ぎ・・・。まったく懲りない男だ。

このケンカがきっかけでかえってうちとける二人。
もうひとつの要因は、磯之丞という若殿様が、二人にとって共通の「守るべきお方」だとわかったから。
琴浦という遊女との恋仲を、たちの悪い侍に妨害される磯之丞だが、ふたりは全力で阻止する。

人生の酸いも甘いもかみわけた老侠客の三婦や、男まさりの押し出しで、しかもいい女の、徳兵衛の女房、お辰など、魅力と個性たっぷりのキャラクターが、芝居を盛り上げてくれます。

最大のくわせ者は団七九郎兵衛の養父・義平次。強欲じじいが、悪い侍の手先となって、琴浦のかどわかしを企てます。血相を変えて走り追いついた団七は、町はずれの井戸端で、汗まみれ、泥まみれになって、義平次をなぶり殺します。

祭ばやしが響く中で、団七の赤いふんどしと刺青が、強烈な色彩で印象的。